少なくとも「おもしろきこともなき世」とは思ってなさそうな人だった。
秋山香乃の『晋作蒼き烈日』読み終わった。
取り敢えず、おとどが格好いいよ、小忠太さんが。高杉さんがしきりに「(息子を)僕のような男に育てるな、父上のような男に育てろ」って言っていたのが、凄く納得できるし、印象的。……てか、息子さんおったのね、この人。
それでもって、本当に最後の最後に「いろいろあったが、総じて普通の息子じゃったよ」て、小忠太さんが言うのですが、そこ読んだらなんかぶわっときた。そこまでは帯に書いてあった「愛の物語」に「あ、愛?」て思ってたんだけど、それを読んだら「なるほど、愛かあ……」と納得してしまったような。てゆーか、アレを普通とか仰いますか、おとどさま。軍艦衝動買いしてきたり、魔王とか記録に書かれちゃったりするアレを。それが衝撃的過ぎて、最早どうでもええが。
衝撃的と言えば、高杉さんが幕府に押し付けた賠償金。アレのオチがすごい笑えました。払ったのね、ちゃんと、明治政府が。(幕府が潰れたので、自己破産的な何かでうやむやになってたと思ってた。そもそも法外だったわけだし) しかもそもそも押し付けた側だったはずの聞多さんと俊輔さんが。あはは、なんだこのオチ。ありえねー。因果は巡るにしても程があるだろう。
前に『五稜郭を落とした男』を読んだときは、義助さんのいいお兄ちゃんぷりが好きだったんですが、今回は流石はっちゃけてたなあ……むしろキレてて、なんか怖い。でも、双璧や四天王のやりとりは凄くよかったです。惚れた云々のときは、ちょっとうわっとなりましたけれども。でも、秋山香乃の作品って、割とそう言うの気にならないから好き。女性との距離感も程よい気がする。と言うか、出てこないんだよな。一緒にいるんだけれども、出てこない。女性はいなくちゃだめなんだろうけど、女色はそんなもんでいいと思う。そう言えば、昔土方さんの話読み漁ってた時期に、序盤読んだだけで「これはポルノ小説か!?」とか思って、キレて流石に読むのやめたことあったなあ。
あ、あと自分は長州勢に関しては(関しても、か。この前の大河で、初めてなんで龍馬さんが「屋号」を使っていたのか知ったくらいだし)根本的な所からして、情報が欠落しているので、今回は歴史的流れの説明がうざいとか言うこともそんなになかったです。
ただ、ちょっと時間の流れ方は違うんだなあ、とは思いました。こっちの人たちにとって、文久や元治はあっと言う間の出来事ではなく、長い長い戦いと我慢の日々だったのだなあ、と。特に高杉さんら四天王が活躍、というかいろいろやらかした時期って、ほんの十年にも満たないんですよね。だから、何度も何度も「あ、あれ、まだ文久なの??」とか思ったりした。短いけど、長い長い時間だったと思う。
今回の本で、今までからするとかなり飛躍的にこの人たちのことは好きになれたと思うけど。
でも、やっぱり、彼らのしてきたことについて考えると「それでも、なんか」「でもでも、だって」と思ってしまうのは、自分がこの時代に興味を持った入り口が新撰組だったからなのか、単なる判官贔屓か。だったら八一八の時に興味がこっちに移っても可笑しくないから判官贔屓は違う気がする。
……ああ、あれだ。
「情人に持つなら彰義隊」
そう言う、気分。
(いや、どんなだ)
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