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概ね日付が変わる頃書いているので昨日と今日の境目がおかしい。幕末と人形と文学的な何かを愛している。
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「故郷よ、息子よ、私は帰ってきた」

それはオデュッセウス。
……
…………
………………
だってそんな気分だったんだもん、そんな気分だったんだもん! この言い回しが一番しっくりくるんだもの!!
えー、と言うわけで、『ホビット 思いがけない冒険』について、つれつれ語って行こうかと思います。ついったーは、って? 140字以内何回か、で足りるかい。
えー、まず前提として。僕がトールキン作品の中で一番回数読んでるのは多分ホビットです(好き嫌いと言うよりは、単に小さな頃から読んでいたせいだと思います。初めて読んだのは8歳か9歳頃だったかと)。バルドとスランドゥイル王がお気に入りです。指輪も勿論読んでますし、終わらざりし物語とシルマリルも一応読んでいますが、現実世界の歴史に対する認識と同じで、興味あるところはよく覚えているけれど(新撰組なんか、かなり細かい日付なんかまで暗唱できますが)、そうでもないところはまるで疎い(南北朝とかそもそも何時だかわかりません)、と言う現象が起きています。ちなみにローハンと執政家が大好きなので、『ホビット』に出てくるドワーフについての細かいあれやこれはまるで判らない、と言って差し支えないです。
指輪の映画の方は中2の時に第一作公開と言うある意味いろいろ真っ盛りな時期に洗礼を受けているので相当フリークです。あと、目下『SHERLOCK』がお気に入りですので、キャスト的にはマーティンとベネさんに注目しがち。LOTRキャストでは、ファラミア役のデイジーくんが異常にお気に入りなのですが、ファラミアは生まれてすらいないのでこれは関係ないですね。
でもって、現状ただの3D字幕とIMAXのHFR3D吹替えで観ました。いろいろ言われているこの「HFR3D」についてですが、私は気に入った方の人種に入ります。と言うのも、恐らく先見にした3D字幕と言うのが、築10年以上は軽く経っているシネコンの、それもあまりよくない部屋で見たためか、画面がごちゃつきと残像の嵐で、なにやらきらきらしているのはわかるのですが、場面によっては人物の判別すら難しい(元々人数多くて難しいけど)状態となっていたためと思われます。そこと比較してしまうと「HFR3D」のすっきり綺麗感と言ったらすごかったです。なんつーか、これ単体で「HFR3D」だけ観るより、比較して観た方が良さを感じるのかもしれないですね。2Dはまだ観てないのでそちらについては何も言えないですが、映画館に観に行くなら遠征してでも「HFR3D」を推します。つかむしろ映画館でそれが観たいが為に通いつめそうです。もう2DはDVDで観ればいいかなあ、って。つまり、見事なまでに、映画館に観に行って欲しいというPJ監督の計画通り……ただ、3Dについては元々あまり魅力を感じていないので、そこについては首を傾げている感じ。

(12/19 追記
「HFR3D(IMAXでない)」も鑑賞してきました。普段あんまり映像云々に拘らない子なんで、IMAXの有無については、別にどっちでもいいんじゃないかなあって思いました。逆に言えば、「HFR3D」と「ただの3D」の違いはそれだけはっきりしている、と言うことでもあるかも知れません。「IMAX HFR3D」と「HFR3D(IMAXでない)」には、まあ、多少は距離感の違いのようなものを感じました。「HFR3D(IMAXでない)」は映画のスクリーンではなく、目の前で演劇舞台を見ているような感じ。「IMAX HFR3D」は登場人物の横か後ろで一緒に見ている感じ。ビルボの家で、確かトーリンが画面向かって右からにゅうっと入ってくるシーンがあったかと思いますが、個人的にそこが一番判り易かったです。IMAXだと「何、え、トーリン!?びっくりした、いきなり出てこないでよ!」ってなりましたが、「IMAXでない」だと特に何も思いませんでしたので。ただ、多分、これはそもそもIMAXと普通の画面の違いのような気もします。これまでIMAXって見たことなかったし。そもそも名前知ったのも一ヶ月くらい前ですし)

さて。
お話は、ホビット庄から始まりますね。この時の「帰ってきた」感はやはり凄まじかったです。LOTRでも似たような感慨は覚えましたが、あれはどっちかって言うとシュリーマンです。「中つ国はあったんだ!」みたいな。ホビット庄も裂け谷もローハンもゴンドールも、モルドールですら実在したんだ!(や、してないです) と言う発見の感動。でも、今度は「帰ってきた」。気分はまるでオデュッセウスです。つまり、物語を読んで憧れている立場ではなく、そこに入っている登場人物の1人、あの世界に住んでいるちっぽけな1人のような感覚。
これって、その人の経験や思い入れにもよる部分なので狙ってやるのは根本的に無理だと思うんですが『ホビット』全体の物語にとって、すごく重要な感傷だと思います。だって、このお話は「行きて帰りし物語」ですもの。「故郷」を探しに行く物語ですもの。観てる側がホビット庄を本物の故郷のように感じることって、すごく大事。今回ラストでビルボが「君たちには故郷がない、だから戻ってきた」と言いますが、実際にあの遠景の美しいホビット庄を観て「帰ってきた」と感じ、愛しく思ってこそ、それもより深く心に迫ろうというものです。
発見は、どっちかって言うとイムラドリスにあった感じでしょうか。あれを観たときは帰ってきた、と言うよりも「みーつけた!」って思いました。周りの荒野と言うか、だだっ広いし。ボロミアなんか、あんなところをたった一人で、馬すら失くして、何日も何日も彷徨っていたのかと思うとなんか涙出ます。イムラドリス、見つけたときはすごく安心しただろうなあ、ボロミア。
新出の国つったらやはりエレボールですが、あれはあれでまた建築様式とか違ってて面白いですね。方角的・環境的にそうなるのはちょっと違うような気がするし、そもそもなんて言うのか判らないんですが、ヴェネチアンでメディチ家な感じがしました。少なくとも僕にとっては「過去の栄華」と言う印象の強い文化ですので滅ぼされた国と言うのはすごく判りやすい。でも、意匠とか衣装とかはそのヴェネチアンでメディチ家な感じなのですが、都市の造りなんかは大分SFチックでしたね。摩天楼。あれはなんか変な気分でした。
んで、まさかのスランドゥイル王初登場でびっくりしたり。
その後、彼の乗り物にまたびっくりしたり。
ヘラジカて。
あんたサーミか。闇の森ってそんなに寒いのか。
あのエルフはなんなんですかねー、もう。本でもエルフ王のくせに宝石と宴会大好きだわ、映画は映画でまず写真が出たときの眉毛と冠騒動やら、ヘラジカやら。
どんだけ人にインパクト与えたら気が済むんだ、と言う。
でも、なんか最早それでこそスランドゥイル王ですよ、と思わなくもないです。口を開いたときが怖い。
そしてそんなところが好き。えへ。
動物は全体的にインパクトでかかったなあ。ウサギとかウサギとかウサギとか。白いワーグも綺麗だった。ワーグに対して綺麗とか可愛いとか、あまつさえ欲しい、飼いたいなどと言う感想を抱く日が来ようとは思わなかったよ。馬は毛もふもふで格好良いより可愛い道産子タイプですね。ドワーフやホビットが乗るポニーなのですからそんなもんですかねえ。どうでもいいですけど、大体子馬って邦訳されてるみたいですけど、ポニーって肩までの高さが147cm以下の馬を指すのででかいのは結構でかいと思います。馬によってはホビットには多分無理。自分は身長153cmでドワーフ的体格なんですが、140cm超える辺りからまず背に上るのが結構大変な感じです。
ドワーフの方は、トーリン除けばやはりフィーリ、キーリの兄弟は目を惹きます。単に僕が兄弟と言う関係性が好きだってのもあるんでしょうが、ビルボの家でお兄ちゃんの意見を「うんうん」ってすごい勢いで頷きながら聞いてるキーリとか、岩の巨人(ところでなんですか、あれ)のところで、道が分断された時フィーリとキーリの間で丁度割れるんですけどその時のなんかすっごい不安そうな顔とか可愛くて可愛くて。トーリンに怒られてもそもそ言い訳してるのも可愛かった。つーかこの子は名前呼ばれすぎや、と思ったけど元々そうだった気がする。話の流れ上、この二人はしっかり覚えて貰わないとなんないですしね。あとトロルにビルボが捕まっちゃった時のも可愛かったなあ。「どうするのどうするのどうするの」って顔でトーリン見て、トーリンが武器を置くからめっちゃ不機嫌そうに武器を地面に叩きつけるところ。多分戦って助けられるとか思ってんだろうなあ。かーわいーなー。わかーいなー。ところで、ワーグと弓使いって虎と猟師みたいな関係なのかしらん。いや、なんか彷彿とさせられるものが……あとやっぱあの子ファラミアに似てると思うけどどうなんでしょうか。いや、動いてると結構おつむりは残念な感じなんで(お兄さんの方がちょっと落ち着いた感じですか。年齢差があるのか、なんなのか。兄弟のキャラ付けとしては珍しい気がする。大体逆だよね)その所為もあるのか、そんなに似てないなとも思うのですが。件の不安そうな顔とか。なんか似てる。今のところ誰も同意してくれないけど、やっぱ似てる。
あ、あとエレボールでのバーリンの、若い王子付きの参謀と言うか、後見人? っぽい感じもすごく好きです。でも身体的には庇われる保護者。ああ、この人はいい王子なんだなあって思えるシーンでした。
ただ、でも、トーリンってやっぱ難しい人だなあ、って。
なんつーか、難しいとしか言えないんですよ。気難しいと言う意味の難しいでもあるし、評価し難いという文字通りの難しいでもあります。彼について唯一はっきりと言えるのは、殺陣が西洋のものにしてはびっくりするほど好みだってことです。重心が低くて(ドワーフ役の方は、重心を下げて行動する訓練をしたそうで、これはまあ大体全員そうなんですが)どっしりとした安定感があって。振りも大きく、迷いが無くてとても美しい形をしている。そう言うのすごく好みなんですよね。西洋の剣なのに、片刃だってのもあるんでしょうが。(余談ですが、普段所謂両手剣を使っている人に行き成りあんな形状の剣を使わせるって、幾ら名刀でも幾らか無茶振りが過ぎると思います。叩く武器と斬る武器なんで、そもそも戦い方違って来ると思うのですが)
ガンダルフは今回も元気でしたね。魔法に対する制約もあまりないのかがんがん行っててちゃんと魔法使……とか思ってたら何あのイスタリじいさん。なんであんな剣使いまくりで。いや、いいんですけど。殺陣大好きだからいいんですけど! あの剣がぱっと見で判らなかった自分をちょっと呪いたい。サルマンは流石にちょっとお年を召した感が……60が70でもあんまり変わらないですけど、流石に80が90はねえ……何と言うか。まあ今は脅威ってわけじゃない、と言うのも無論そうなのですが、なんかこう小さくなったような、感じが。ずっと座っていらっしたしね……リー様、かなり大きな方のはずなんだけどな、って……楽しみだったし、楽しかったけど、なんか明後日の方向に寂しいです。正しく「時間」ですよ。長生き、して欲しいなあ。トールキンの亡霊みたいだった、って言われてたのも効いているのかしらん。なんか、いなくなったらまた大事なものが消えそうで。逆に、エルロンドはなんかいい若造な感じでしたね。自分で馬を駆って出て行ってしまうような若々しさ。むつかしい雰囲気や眉間の皺もあんまりなくて、ちょっと陽気な感じもして。でもちょっと意地悪だったりして。トールキンのエルフって基本こんな感じだよなあ、って。面子が面子なだけに最年少? な雰囲気もちょっと面白くて。でも、ドワーフとエルフが(大体スランドゥイルの所為で)余計目に仲が悪いから、あんまり憩わなかったよ、あの館。あ、でもグローイン面白かった。あれね、息子さんの「エルフには言うなよ!」みたいなところのやりとりを思い出しました。そう言えば、エルフさんの騎馬隊、旗手に1人金髪さんがいたので、その人はグロールフィンデル、きっとそう、と言う虚しい遊びを今回もしています。と言うか、何故にリンディア。そこはエレストールじゃないんかい。と思ったけど、指輪の方ではリンディアは結構ビルボと仲良さ気なんで、その辺りなのかなあ。裂け谷には今回エルフがわらわらいたので、指輪はやっぱり衰退期のお話だったんだなあ、と痛感しました。
ただ、個々のシーンは楽しいの連続ですし、その積み重ねで仲間になっていくような雰囲気も王道と言えば王道で、よいのですが、そのう。導入だけで第一部終わらせやがった、みたいな雰囲気は否めないです。と、思います。まあ、楽しけりゃいいのか。劇場でいた子供はどれもわくわく楽しそうにしてたし。それ、大事だと思うんだ。僕は幸いにして本大好きだからちっさいころからここで、中つ国と言う楽しい場所でずっと遊んできたけどさ。そうでない子もいるだろう。ぶっちゃけ、私は大人しく画面を見てるのって苦痛で仕方がないんだ。何か食べるとか、折り紙やレース編みや、なんでもいい。最悪ハンカチを開いたり閉じたりしてるだけでもいい。でも、そうやって指先くらい動かしとかないと大人しく画面を見ていることって出来ない。本について、そう感じる子も多いと思う。原作持ち歩いていたら、会社で「なんか分厚いの出てきた」って言われたから、世間的にはそう言う認識なんだろう、とも思う。翻訳も質がいいのは古くてたまに日本語の辞書が欲しくなるし、新訳はセンスがアレだし。つまり何が言いたいかって言うと、遊びに行くまでにすごく壁がでかいんだよ、今の中つ国は。
でも、映画ってその辺りのことは結構取っ払えると思うんですよね。安全に、楽しく、簡単に。中つ国まで遊びに行ける素敵なツール。それが映画。どうだい、子供たち。中つ国は楽しいだろう? いいところだろう? なんて、楽しそうにしている子供を見ると思います。僕が昔、本と母を通して中つ国やムーミン谷に行ったように。あの子たちは今まさに、映画とPJ監督の腕を通して、中つ国の冒険への一歩を踏み出したんだろうなあ、って。それは、冒頭のホビット庄並みに美しい光景のようにも思えます。
ところで、取り立ててゴラムについて触れてないけど。
僕、あのなぞなぞ合戦のシーン好きなんだけど、なんかあんまり想像した通りに作られすぎてて、最早何も無いのですよ。ちょっと問題数少なかったけどね。お日様とデイジーって、聞きたかったなあ。一部、僕のような、ファン層に妙な笑いを齎してくれたと思うんだけど。いっそ雛菊って書いてデイジーって振り仮名みたいな字幕とかね。(そろそろやめようか)

来年が早く来ればいいのに、とも思いますが、このお祭りがずっと続けばいいのにとも思います。

これで、おしまい。

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