カレル・チャペックの北欧旅行記、読み終わった。
筆者に時々謎なスイッチが入るらしく、突然国土の形を人体に喩え出したり、多分エスニックジョーク的な何かを持ち出してきたりして、面白いんだが、逐一カッコ書きで突っ込み入れたくなるような文章だった。赤ペン欲しいよ、赤ペン。いや、読んでて面白かったのは事実です。旅行記の割りに、切れ目は判然としないんですが、小さく区切って眠る前にちくちく大事に読みたい感じ。
読み終わってから思い出したのですが、この人ロボットの語源を作ったんだかなんだったかした人だったような。本人は否定しているようですが。
一番突っ込みたかったのは、一番紙幅割いてるように見えて、中はフィヨルドやヨーロッパ最北端なんて言うようなことについて書かれているのが大半なのに、何故か「鱈くさい」と言う印象ばかり際立つノルウェー編でしょうか。なんで、鱈。かく言う自分もノルウェーと言うと、今でも一番に思い出すのがフィヨルドでも町でも沈まない太陽でもなんでもなく、もうものすっごい美味しかった鮭なんで、人のこと言えませんが。
いや、あの鮭は本当に美味しかったんだ。あんなに白いご飯がないのが残念だったときって、未だにないしきっと今後も訪れないと思うんだ。「ほんたうのたべもの」ってこう言うものじゃないかしらん、って思ったくらいなんだ。うん。なんでそこで宮沢賢治なのかは知らん。
チーズ食べたい病が続いているので、食べたことのないチーズを試してみた。味は薄いくせに、癖が強いというなんとも言えない味だった。ナッツのような、ってパッケージに書いてあったけど、末生りのリンゴつーか、収穫時期を見誤って硬くなったみかんつーか、なんかそんな味だった。
もしかしたら、調理用だったのかもしれん。あんまりそのままでは美味しくなかったので、オムレツに入れてみたら大層美味。ただ、オムレツ自体は卵と具の分量を見誤って失敗したけど。
妹が何かしらファンタジーな小説を読みたいというので「私たちのはファンタジーだから」と言う言い訳の元『雪よ林檎の香のごとく』を貸してみたら、数週間後
「あれ、授業でやった」
と報告された。
短歌を、だが。無論。
妹は妹の国語の先生が余り好きではないようだったが、それで少しばかり好感を覚えたらしい。古典の先生が嫌いだったが、テストの応用問題に『義経記』を引用されて、ちょっとだけ好きになっても良いかもしれない、と思ったのは姉の僕だ。血は争えない。
話自体もそれなりに気に入ったようだ。『雪よ林檎の香のごとく』は、ジャンルは兎も角としてあれくらいの年齢の子が読むのが、やっぱり面白いし「良い」ものなんだろう。読書を年齢で区切るのは愚行の極みだと思うのだけれど、時々そう言う本はある。すなわち、もう少し昔に読んでいれば素直に受け取れたかもしれない。或いは、もう少し未来に出会えば、もっとよく理解できたのかもしれない。そう言う物語。後者は後々読み返してやれば済むだけの話だが、前者だけは取り返しがつかないので。だから、手当たり次第読むことは悪くないんだ、と思う。思い込む。
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