谷崎の『細雪』を読んでいる。
長い……上中下とかで分かれてる本がどうも好きではなくて、完全版として全部一緒になってるのが出たのをきっかけに買ったんだけど、やっぱりちょっと分厚すぎた。意地張らないで、分冊の買えば良かったよ。京極並だもの。電車のなかとかで、立って読んでると腕がぷるぷるしてきます。一応、会社に持ってて、お昼と帰りの電車のなかで読んでるけど、あんまりお出かけのお供には向かないやね。
んでも、結構面白い。コレくらいの時代のちょっと硬い感じの人生観、習慣、規則、生き方。そう言うのって、割と好きだな。自分で選んで、決めていくって言うのも悪いことではないと思うんだけど、正直時々めんどくさい。まあ、あれくらいの時代に生まれていたら生まれていたで、やっぱりそういう生き方って時々めんどくさい、って思ったりしていたんだろうと思う。
それは兎も角として、読んでるだけなのに標準語がやや怪しくなるくらい関西弁が移りそう、とはこれ如何に。なんか、この四人姉妹の喋っている言葉が、曾御祖母さまが喋ってたのとよく似てるんだよね。時代的なものなのか、地域的なものなのかは、よく知らないけど。御祖母さまが喋るのとは、そんなに似てるとは思わないから、時代的なものなのかな。父親が喋っているのとは、似ても似つきませんが。あの人、根本的に口が悪いからなあ……
あと、なんかこう姉妹間のやりとりと言うか、女の子同士の距離感とか、対応の仕方とか互いに抱く感情みたいのが変に巧くて困る。少なくとも自分は似たように思っている、ということが多々描いてある(特に幸子さんから雪子さんに、とか)。これ書いたの男だよな、男だよな!? と。損な表現が出てくる都度都度思います。すごいや、谷崎。あたし、生まれて初めてナチュラルに文豪のことを文豪って思ってるかもしれない。
そりゃ、太宰とかは好きだけど。そんなに「すごいや」とかって素直に思ったことないもの。ただ好きなのと、すごいって思うのとは大分違うと思う。すごいって思うけど、さして好きじゃない人はいっぱいいるし。好きだけど、あんまりすごいって思わんことも多いし。でも、すごいって思えるものが好きだと楽しい。
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